小学校6年生で身長190cm超え。同級生より力も強く何をするにも目立った僕は、自分の身長が嫌いで、周りの冷たい視線に悩むことも少なくありませんでした。でも、バスケットボールと出合い、気持ちが変わりました。高い身長を活かしてよいプレーをすれば、チームメイトや応援してくれる人が喜び、笑顔になる。その経験をして初めて「身長が高くてよかった」と心から思え、自分にも自信がもてるようになっていったのです。
今、僕はプロバスケットボール選手として10年目を迎えます。もちろん、身長が高いだけでプロになれた訳ではありませんが、この身長こそが長所であり、個性だと理解できたから今の自分がいるのだと信じています。
現在、僕は妻と4人の子ども、犬や猫や亀などの動物と一緒に暮らしています。４人はそれぞれの個性があり、動物たちもみんな違う生き物だけれど、その個性が誰かを笑顔にし、幸せにしてくれることを実感しています。人と違うことこそが、大切な宝物なのです。
もし、周りと違うことを悩んでいる子がいたら、どうかこの本を読んでほしい。そして私たち大人も、人と違うことを恐れないでほしい。個性は比較するものではなく、個々がもつ誰かを幸せにする力です。その素晴らしい個性を、ぜひ大切にしてください。

幼い頃から絵を描く事が大好きだった僕。将来は絵を描く仕事に就きたいと思っていましたが、中学生になって周りに絵が上手な子が現れたことで自信がなくなり、劣等感で諦めてしまいました。その後レーサーになりたいと思うようになった僕に「ひろきくんがレーサーになったら、イラストレーターになった僕がその車に絵を描いてあげる」と言った友人が、絵の上手だった左右田薫くんです。
僕が20代半ばでレーサーの夢を諦めたころ、左右田くんはすでにイラストレーターとし活躍していました。自分はレーサーになれなかったけれど、あの時一緒に過ごしていた彼が夢を叶えたのなら、まだ僕も何かできるかもしれない、と思ったのを覚えています。そして結婚して子どもが生まれ、妻が子どもに絵本の読み聞かせをしているのを見て、子どものために絵本を作ろうと思いました。彼の存在により絵を描くことを諦めたはずが、彼や家族の存在がまた絵を描く道へと導いてくれたのです。
絵を描くことは自由です。上手いも下手もないのです。
いつもそんな思いで、絵本を制作しています。
ぜひ、楽しんでいただけたらと思います。

僕は幼少期からマイペースで協調性が無く、好きなことには集中するタイプの子どもでした。みんながスポーツに夢中になっていても自分だけは絵を描き、授業中もひたすらノートにマンガやイラストを描いていて、「美術の時間の集中している姿と普段の授業との差があり、やればできるのに気分のムラが激しい」と成績表にも書いてありました。
夢は一つで「絵を描く仕事につくこと」。おかげで迷いなくデザイナーの道に進みましたが、そこでは自分より活躍をしている人が大勢いました。同じ歳ですでに独立している人、自分がやりたい仕事をしている人を見て、いつの間にか周りを羨むようになっていました。
そんな時、とある本に書いてあった言葉に出合います。
「人間だれでもが欠けているところが必ずある。たとえ気どった格好をしていても、それをもし見えない鏡に映したら、それぞれの絶望的な形でまがっている。でも人間は、自分のゆがみを知り、対決をしながら時に労わり人生の局面を貫いて生き進んでいくのです。」
この言葉に出合ってからは、他人と比べるよりも、自身を磨くことにさらに集中するようになりました。そして弱点を克服しようとすれば、それがとてつもない力を生み出すこともあるんだと体験をもって知り、それからはデザインやイラストだけでなく壁画や現代アートにも力を入れて幅広く活動しています。
今回は異なる個性をもつ3人が、得意な分野で力を出し制作した特別な絵本です。3人のチャレンジをどうぞお楽しみください。